憧れの外車 アウディA4 アウディのダサいイメージを一掃した車
外車への憧れは募るばかりだった。特にドイツ車に強く興味をひかれた。なぜだろうか。
イギリス車は、ロールスロイス、アストンマーチン、ベントレーと高級車のイメージでフェラーリやランボルギーニを欲しいとさえ思わないのと同様、雲の上の存在だった。イタリア車これらの高級車を除いたフィアットやアルファロメオ、これらの内装の美しさは憧れたがデザインの妖艶さが大人っぽく、青二才の私には似合うはずがなかった。フランス車は型にはまらないデザイン性とやわらかなラインがおしゃれすぎて気が引けた。アメリカ車は大きすぎて日本の道を走るには不便だし、燃費も悪いので論外だった。ドイツ車はカチッとしたデザイン、高品質でまさに質実剛健、外車素人の私にはぴったりだった。
ポルシェはデザインは美しく、エンジンも素晴らしいのだが、あまりにも存在感があり過ぎる。BMWはタフでごつい。私のようなひょろひょろの若者は全然ふさわしくない。メルセデスは高級車というイメージが強すぎて若者が乗る車ではない感じだった。フォルクスワーゲンはかわいくて私は好きだった。そして、アウディ…ずっとあまりかっこよくないイメージだった。

しかし、このアウディA4が登場すると、一瞬にして私はとりこになってしまった。高級感漂う洗練されたフォルムに大人の女性のような上品さが全体に感じられる。そのころはまだセダンをおじさんくさいとは思わず、むしろ車のスタンダードフォルムとさえ思っていたのでとても美しいと私に映った。内装もまさに高級車のそれで、ハンドルやシフトレバー、スピードメーター、それぞれの部品が線が重なり、金属部品やメッキがアクセントになるように配されている。なにより驚いたのが、シフトチェンジの際の走り出しの軽快さである。これが高級車のエンジン、トランスミッションなのだろうかと感動したものだ。アウディA4との出会いは私の自動車観をすっかり塗り替えてしまった。デザイン、内装、乗り心地、すべてにおいて満足させてくれるもの、それが外車なんだと、半ば信仰するように私は思った。