学歴によって生じる不調和 コンプレックスとは


今私の眼に映つる人生の事象は皆傷ましい。が中に就きても人間と人間との接触より生ずる不調和ほど傷ましいものはない。世の中にはそんなに悪い人がいるものではない。ドストエウスキーの『死人の家』などに出て来るような生来の悪人はむしろ病的な人である。またかかる本来の悪意より生ずる悲劇は最も単純な、そして悲劇性の少ないものである。最も堪えがたき悲劇は相当に義理人情ある人々の間に起る不調和である。人間の触るるところ、集るところ、気拙さと不調和とに充ちている。いやもっと深刻な残冷な、人間の当然な幸福と願い―それは決して我儘なのではない、人間として許されていいほんの僅かな願いをも圧し潰してしまうような不調和がある。自らその災害を被らずとも、世界を調和あるコスモスとして胸に収めて生きたいヒューマニストにとってはこれは実に苦痛な事である。其処には人間の切なる情実の複雑な纏絡があるだけに、殆どこれのみにて人をして厭世観を抱かしむるほどの悩みの種となるものである。   『愛と認識との出発』 倉田百三著より



「hajimeくんさぁ、前にも言ったと思うけどもっと言葉を選んだ方がいいよ。よく考えてから言葉は発しないと」

Tさんは同僚ではあるが年長者で、私のどんな小さな失敗も見のがさず容赦なく非難する。彼が不機嫌な時には一層手厳しいものになるが、その反面人情がないわけではなく、かわいがってくれる面もあるのだが、別にあなたのためじゃない、自分のために、自分がやりやすくなるようにしているだけだと彼は言っている。私は一般と比べれば言葉に対して誠実であると自任しており、今回も私としては慎重に状況判断をした上で最適な言葉を選んだつもりであった。咄嗟の判断をする必要があったために、考慮が足りない向きはあり、最善とはいえないため、彼の言うことはもっともである。一層言葉に慎重にならなければならないと自戒したことは言うまでもない。私の発言により、確かにTさんに不都合が生じたのだが、もっともそれは私も想定していた結果であり、日常で起こるささいなことであったが、彼には気に食わなかった。

「高卒の私でも、ない頭をフル回転させて言葉を選んで、考えてから発言しますよ。お客さんに対してなら一層注意しますね。(見習ったらどうですか?)」

彼は高卒の私ができるのにどうして大卒の?あなたができないんですか?大学まで行ってるんですからそのくらいしてください、して当然です。としばしば”高卒だから”や”高卒なのに”の言葉が彼の意見には伴っている。私は「学歴コンプレックス」という言葉を聞いたことはあったが、どんなものであるかというのはさっぱり分からなかった。私自身が意味を見出していなかったし、肩書の類が信用ならない場合が多いことも知っていた。本来の意味とは合致しないかもしれないが、これが「学歴コンプレックス」なのではないかという気がした。

「私の方が明らかにあなたよりも優れている。なのに私は高卒で、こんな無能な若造が大学へ行っているなんて。なんと不幸なことだ!学歴は私よりいいかもしれないが、あなたは私より劣っているということを理解していますか?」というメッセージがひしひしと伝わってくる。私はただすみませんと言って、頭を下げる。黙って反省する。私は経済的活動に関して無能であり、会社にとって役立たずだ。学歴によって生じる不調和。学歴にコンプレックスを持つことの無意味と弊害。コンプレックスは他人は気にしないような事柄に自分だけが極端に気にするという異常な心理状態である。この心理状態、劣等感をいかに取り除くのか、これを考えて行けば不調和は幾分和らげられるであろう。

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No title

それはストックフレーズの垂れ流しで、
きっと意味なんかないよっ。
「高卒の私でも、…」
ここまで聞いただけで、後に続く台詞は、
すべて自動的に浮かんでくる。
言語表現ではなく、
寝言みたいなものですよっw。

「よく考えてから言葉は発しないと」
ではなくて、
「考える必要のない言葉を発しないと」
が正解です。

青梗菜さんへ

こんにちは。

自動的に浮かんでくる、卑屈が習慣化されて無感覚になってしまう…受け手はどうしても自分を貶めなくてもいいのになんて思ってしまうので知らないうちに損してるように思いますが、自己防衛という意味ではいいのかもしれません。

たしかに「考える必要のない言葉」の方が親切ですし、コミュニケーションとして正解ですね。
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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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