小説の一節から引き起こされる私の思考


こうしていよいよ私の真昼が訪れた。今は私もそれを認めなければならぬ。だが、どうしようもない。おお、軽やかな私の青春よ、いざ仲むつまじく別れよう!快楽、悲哀、あまい苦悩、騒ぎ、あらし、酒宴、そのほか君が贈ってくれた一切に、私はあつく礼を言う。心から君に感謝している。おののきにつけ静けさにつけ、私は君を満喫して来た、……心ゆくまで。ああ、もう沢山だ!晴れやかな心を抱いて、今こそ私は新たな道へ踏み出そう。過ぎ去った生活からほっと一と息つくために。   『オネーギン』 プーシキン作より


こうして小説の一節から記事を起こすことができると非常にうれしい。私は岩波文庫しか読まないと言っていいほど岩波文庫党?だが、読む人は分かるだろう、その思想に関する書物として分類された青帯(物語ではなく、論文調がほとんど)は比較的記事にして論じやすい内容になっているので、ブログ記事の多くがその青帯から引出されたものである。青帯と言うと、私はかつての青本を思い出す。勉強法にこだわりを持つ者にだけ許される、”赤本か青本か”の議論。何の話かというと、大学ごとに過去の入試問題何年分かが一冊にまとまっている問題集で、全体が赤の装丁を赤本、青の装丁を青本と呼び、赤本は教学社、青本は駿台予備校が出版しているものだ。要は志望校の過去問演習を赤本と青本どちらをやるとより学習効果があるかの議論である。

話を戻して、小説の一節から引き起こされる私の思考は過去の体験に基づくことが多い。それは「失われた時を求めて」の中で、マドレーヌの味をきっかけにして昔のことが思い出されるのに似ていて、私の記憶の中の、人生でたいせつなワンシーンを思い出させてくれるのである。私にとってこの感覚が読書の醍醐味の一つであるのだが、他の人はどうであろう?確かに、正しい鑑賞者ではないかもしれない、間違った読書かもしれない、しかし、孤独の中にある私にとって共感以上の慰めがあるであろうか?しかもその辛く、厳しい日々をドラマチックに演出し、そこに希望と喜びを吹き込んでくれるのである。

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ありがとうございます☆

小説の印象的なフレーズから
齎らされる精神の揺動
それに伴う思索の旅
読書の醍醐味ですよね♪

それは
時にプルーストのマドレーヌの香り的な効果
充分にありますね!

プーシキンは
私にとって特別な作家なんです。
オネーギン(オペラもバレエも素晴らしいですが)から引用して
このような想いを綴って下さること含め
(いつも感じていることですが)
“孤独の放浪者の随想”は
私にとって
かけがえのない存在です・・・。


紗希さんへ

こんにちは。
メッセージありがとうございます。

思索の旅、本当に最高です。場所も時も選ばない至上の喜び。

>プーシキンは私にとって特別な作家
そうだったんですね!なんだかとっても嬉しいです。
何かそのことを表すエピソードをお持ちでしょうか?よろしければお聞かせください。

オネーギンはオペラやバレエも名高いですよね、私は鑑賞したことがありませんが素晴らしいのでしょうね!
あの岩波文庫の訳の仕方も非常に気に入っていて、語彙や言葉選びが心地いいです。けれど原作は韻文小説ということで、プーシキンの偉大さを如実に表しているのでしょう。原作で読むことの出来ないのが残念でなりません。

最上のお褒めの言葉とてもうれしいです。これを励みにこれからも思索がうまれる限り綴っていきたいと思います…。

こんばんは☆

そうですね。
このご説明
かなりプライベートなお話になります(笑

ですがそれも含めて、

(時に人生のどんな経験にも優るとも劣らない)読書の森
に分け入ることの意義深さ(解り合えるひとは限られていますゆえ)
ゆっくりお話できたなら
有意な時間を共有できると信じて
いつかニューグランドで!




プロフィール

hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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