自家源泉をもつレストラン 湯河原温泉『オーベルジュ 湯楽』

旅に出る理由は人それぞれである。一般によく言われるのは現実逃避のため、趣味・娯楽、流行などだ。冒険心とかいってみるとちょっとかっこいいかもしれない。私はというと、旅をすることで現在の自分自身を生き、現実とは異なる世界に身を置くことにより自己の保存ができると考えている。だから私は定期的にそのときの気分に合わせて旅に出て、そこに深くわが痕跡を残してくるのである。そうすれば、そのときの自分にいつでも会いに行けるのである。その場所に行けば、想像以上に鮮明にその時の記憶がよみがえってくる。

「湯河原温泉」は私にとって特別な温泉地の一つである。夏目漱石や国木田独歩など多くの文豪が逗留し、執筆に励んでいたということももちろんその理由の一つではあるが、この温泉地は松尾芭蕉「奥の細道」の大垣にあたる、私の「奥の細道」のむすびの地だったのである。長旅の疲れが溜まっており、湯河原の旅は満足のいくものではなく、必ず再度訪れなければならないと私は決心していた。

それにしても、「湯河原温泉」は不運な温泉地だ。山側には首都圏最大の温泉地、「箱根温泉」が控え、すぐ隣には温泉の半島「伊豆半島」の付け根に位置する日本屈指の大温泉地、「熱海温泉」が構える。その証拠に、近年経営不振によっていくつか旅館が閉館に追い込まれているようである。しかし、それゆえに静養や旅情に浸るには最適な場所でもあるわけだ。そんな中、『オーベルジュ 湯楽』は宿泊施設を備えたレストラン(オーベルジュ)として新たな歩みを始めた。さびれていく温泉街は全国に多いけれど、再生の旗手となるたった一つの旅館さえあれば活気は必ず戻ると私は信じている。温泉は石油と同様に金の泉であり、サービスさえ充実していれば癒しを求める現代人はきっと足を運ぶだろう。

旅館で重要なポイントは、水回りが最重要だが、館内の清潔感(特に温泉の場合、風呂の清潔感と泉質は絶対条件)、食事、スタッフのおもてなしである。『オーベルジュ 湯楽』は豊富な湯量の自家源泉をもち、源泉掛け流し。その上、こんなに贅沢な無料貸切露天まで設けられている。

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にもかかわらず、オーベルジュでレストランがメインだというのである!そう謳っておいてレストランがイマイチならばこれはもう致命的だが、湯河原という土地柄、食材は海の幸・山の幸いずれも豊かで、腕のいい料理人と店内の雰囲気づくりさえ気づかえば成功必至と言わざるをえない。

地元の野菜を使ったイタリアンと和食を融合させたコース料理を提供するレストラン「ピノクラーレ」。いかに期待感をゲストに与えるか、私たちは普段直接的対象、主役・メインに関心を向けがちであるが、その背後にある効果や意図、脇役や物語性などにも意識を向けるべきだ、本能的に私たちはそれを感じ取っていながら意識していないだけなのである。

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様々な地元の旬の食材を調理した料理はどれも美味であったが、その中でも特に印象的だったのは相模湾で水揚げされた、ホウボウ・アカムツ・キンメダイの刺身である。これは絶品であった。この季節の白身魚はめちゃくちゃうまい。そうそう食べられない感動的な三役そろい踏み。

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内湯も特徴的であり、全体的にインパクトを与えるような魅せ方が上手で、巧みにブランド化されており、リピートしたくなるような仕掛けが組まれているのには脱帽だった。

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珍しく、温泉に関する記述がほとんどないが、源泉掛け流しとあって、泉質も文句なし。中部圏では箱根や熱海は知っているけど、湯河原温泉は聞いたことがないという人が多いように思うので、これから少しずつその知名度が上がり、箱根・熱海・湯河原、全体がもっと活気づくことを願っている。

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凄いですね~

世界に誇れる日本文化

大切なお仕事だと思います

風蘭さんへ

コメントありがとうございました。

文学はつくづく素晴らしいものだなと思いました。
これからもよろしくお願いいたします。
プロフィール

hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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