今なお褪せないモダンさの文人が愛したホテル 『山の上ホテル』


坂を上りきるとドアマンの姿が見えた。あちらでは僕たちの姿を認めるや否や歓迎のしるしとといわんばかりに挨拶をするとすぐに駐車の指示へ移り、もう一人従業員も出てきて立体駐車場の操作を始めた。この一連の動作が迅速で気持ち良かった。それから館内に案内されたが、彼らからは親しみやすさがにじみ出ているような気がした。とても落ち着いた雰囲気のロビー。今までいったホテルの中でもっとも静かだったかもしれない。客層が少し高めで、そのときは早めの時間だったこともあって、奥の休憩室のようなところに老夫婦がいらしたのと、2、3人が正面玄関ではないレストランに通じる入り口から出入りしたのみであったこともその要因であるだが、もっとも大きな役割を果たしたのはロビーにしかれた真紅の絨毯だったに違いない。足音などの雑音は見事に吸収され、開放的ではない、クラシカルな造りになっているので反響もさほどしないのであろう、とにかく居心地のいい空間であった。フロント後方には国会議事堂にでもありそうな高貴なエレベーターがあり、フロント脇には勉強室兼談話室があって、こちら気品あふれるたたずまいであった。
tanbo5_im01.jpg(これは五階のものだが)
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いずれも近づき難いような気高さはなく、モダンさをそなえた親しみやすい懐かしさを思い起こさせる感じがあった。

僕が今回この『山の上ホテル』を宿所に選んだのは立地もそうだが、数多くの文人に愛されているというふれこみで、特に三島由紀夫が残した「東京の真中にかういふ静かな宿があるとは思はなかった。設備も清潔を極め、サービスもまだ少し素人っぽい処が実にいい。ねがはくは、ここが有名になりすぎたり、はやりすぎたりしませんやうに。」という言葉にひどくひきつけられたからだった。しかも併設している天ぷらの名店として名高い『天ぷらと和食 山の上』がつくる朝食が頂けるのだ。朝食は和食に限る、という主義の僕にとっては本当にうれしいサービスである。なぜ文人たちがよく利用したのか、これには理由があるようだ。なんでも出版社が近くにあって、執筆のための滞在、あるいは執筆促進のための”缶詰”にされることがよくあったというのだ。作家という仕事に並々ならぬ関心がある僕にとって、こうしたエピソードは一層旅情をかきたてた。

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Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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