日本社会に対する危惧 成功する仕事の手順


「あすのことを思い煩うな。一日の苦労は、その日一日だけで十分である。」(マタイによる福音書6-34)人間は想像力という危険な賜物を神からさずかっているが、これはわれわれの実力をこえた、はるかに広い活動範囲をもっている。想像力はわれわれの計画する仕事の全部を、なしとげ得るはずのものとして、一時に目の前に置いてみせるが、人間の力はそれらをつぎつぎに一つひとつやりとげて行くことしかできない。そこで、この目的のために、常に元気を新たにしていかなければならぬ。だから、いつもただ、今日のために働くという習慣をつくるがよい。明日はひとりでにやって来る、そして、それと共に明日の力もまた来るのである。   『幸福論』より


もちろん仕事は、特に精神的な仕事はなおさら、丁寧にすべきである。が、しかし、何一つ言いおとさず、読み残さぬというように、全部を尽そうと思ってはならない。そのようなことは今日、もはや誰の力にも及ばぬことである。一番よいやり方は、比較的せまい範囲を完全に仕上げて、そのほかの広い範囲については本質的な要点だけに力を注ぐことである。あまりに多くを望む者は、今日では、あまり成績のあがらないのが普通である。   『幸福論』より


「明日から仕事かー」、あちらこちらで、こんなため息交じりの声が聞こえてくる。誰か相手がいて、その相手にこのようにこぼす人もいるし―そしてお互いに共感し合ったりなんかして―、独り、布団に入っていよいよ明日が来るという間際になって、闇に向って嘆く人もいる。最近ではツイッターでネット上という虚空につぶやいている人が驚くほど多くいる。勤勉と賞される日本人が現代ではこの有様。この国民の美点は今、どこにあるのだろう?製造における技術の高さも、その流出や他国の成長によって以前ほど突出してはいないのではなかろうか。とにかく僕はこの「仕事が嫌だ」という叫びが日本社会を覆っていることをとても危惧している。これは異常というしかない。仕事は喜びであるとまでは言わないけれど、人間が人間であるための基本的な活動が働くことであることは疑いない。だからそんなさむしいこと言うなよと思う。

思い煩っても明日は来る。明日は明日の風が吹く。と気楽に構えていても同様に明日はやって来る。だったら今日を生き、明日は明日の自分に任せてはどうだろうか。仕事なんかほとんどが繰り返しで、明日急に仕事が変わるわけではないのだから、今までやれていた通りに明日もきっとやれるだろう、やりきることができるだろう。自信とは少し違うのかもしれないが、自分を本当の意味で信頼しなくちゃならない。

加えて、僕は言いたい。そんなに嫌ならそんな仕事辞めたらいいじゃないかと。人それぞれ辞めない理由をさまざま聞いたことがあるけれど、今まで一つも「ああ、それは辞められないね。」という納得のいくものに出会ったことがない。誰もが「生きるため」とわかっていながら、勝手にそれにいろんな解釈、諸条件を付加して苦しんでいる。「死にたくはないけれど、生きたいわけでもない」という絶望にいる人もいるであろう。僕はどうあっても、「生を肯定したい」そして皆が、一人残らず幸せであらんことを願う。「死にたくない」は結構。「生きたくない」を問題としよう。怠惰に生きて、楽に暮らしたいと欲しているならば、その根性を叩き直すべきである。「世の中は所詮金だ」と悟った気になっている一般市民は自分が何も持たず、何も両親や周りの人から与えられなかったことを悔やみ、呪うがいい。その当人が金持ちになった日には大事に抱え込んで、かつて己がそうであったにもかかわらず一般市民に対して何の恵みも与えないことだろう。世の中のほとんどすべてが誰かの持ち物で、そこに後から私たちがやってきたのだから肩身の狭い思いをするのは当然ではないか。贅沢言うなかれ。身分を嘆くな。金持ちの人は、運が良かったですね、おめでとうということにする。そしてこれからうまくやっていってくれとしか言うことはできない。


僕は現実に仕事を行う上で、「比較的せまい範囲を完全に仕上げて、そのほかの広い範囲については本質的な要点だけに力を注ぐことである」という言葉が真実であることを実感している。全体をぼんやりと仕上げるよりも、主要部をしっかりと仕上げ、全体をまとめあげた仕事というのは鮮やかであり、見事な印象を与える。僕は仕事でお客様に手作業によるサービスを行っているのだが、お客様の目線に立って、もっとも関心、あるいは注意の及ぶところを入念に手を入れるようにしている。すべてを完璧に仕上げようと思えば思うほど、視野が狭くなってしまい、結果として考えられぬようなミス、大きな見落としをしてしまうことがある。中心となるものに最も注意を払い、全体を見渡して、要所を十分なレベルに仕上げ、それらの周辺を全体のバランスを考え、整えるように仕上げていくという手順で行なうと、経験上、上々の出来となる場合が多い。

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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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