スタヴローギン的な私 プレゼントは喜びを増やす習慣


『悪霊』のなかでのスタヴローギンの印象は「特になにもしていない」ということだ。ピョートルやキリーロフなどに思想的影響を与えていることは描かれているが、それらでさえ意志によるというよりは彼らの思想的傾向を後押しするような形態のものであって、彼が何かをそそのかそうとしたり、企てているような類のものではない。けれども、その傾向などの強め方が、「悪」、「冷酷」な方面へなされるというのがスタヴローギンの特徴であろう。彼自身がなぜだか知らないが、「卑劣」、「冷徹」たらんとするのである。僕が、僕自身をスタヴローギン的だと考えたのはこうした「卑劣」、「冷徹」という性質ではなくて、相手の思想的傾向を見抜いたり、今後の事態の成り行きや自分自身の振る舞いが引き起こす影響を理解する能力があるということだ。スタヴローギン的とあいまいな表現にしたのは、こうしたスタヴローギンの能力に近いもの、あるいはこうした心がけを僕自身が実践しているという程度のものだからだが、こうした洞察力や想像力、客観性や判断力を求める姿勢というのは人間社会を生きていくうえで重要になると考えている。逆に、スタヴローギンのような能力をしっかりと持っている人間は世界をある程度は思う様に生きていけるにちがいない。そうした意味で彼は天才であり、神がかっていて、いわゆるカリスマであるのだ。

ただ、この能力は人生をつまらない味気ないものにする。予想したことが起り、すでに結果が目に見えてしまう。現実に対する疑問や不可解性などなく、周りの人たちの煩悶や焦慮に対して非常にばかばかしく、そうした姿に低劣さすら感じてしまうだろう。こうしたことが現実に僕自身が感じていることなのである。人は何度も同じ失敗を繰り返し、そのたびに失望したり、憤ったり、自分自身にふがいなさを感じたりしている。当たり前のことが当たり前に起こっているだけなのに気の毒でさえあったりする。人は「できるか、できないか」が問題となるようだが、僕は「やるか、やらないか」ということが問題なのだと考えている。「やることはすでにできることを意味していて、やらないから、結果できない」だけなのだ。それほど人間の能力、力というものは想像を超えるものがあるのも事実であろう。「この人が、こうしたことを行い、社会がこうした潮流にいたり、世論がこうした傾向をもつ」ということも大体予測がつく。単純に、僕が嫌い、厭っている傾向にあらゆるものは流される。健康を害し、自然を破壊し、人を傷つけ、個人が私利私欲に進む。しかし、問題はそうした傾向を持つ僕にとって、なぜそうした反社会的で反人道的な感情や思考になるのかが全く理解できないことだ。観察力と想像力と判断力があるのならば、宗教家にでも、政治的リーダーにでも、会社の社長にでもなれそうなものだが?いやいや、僕にはいわゆる愚民が求めているものがさっぱりわからない。ヒット商品や世論を先導すること、こうしたことができる人たちこそ天才なのだろう。どんな商売をしたら儲かるのか、どんな言葉をはいたら人を魅了し、どんな美辞麗句をつかえば人の心をひきつけるのかということを僕はまったく理解ができない。はっきりいって人の心が読めないのが僕なのである。だから、善や正しさを求め、それに適う言動をすることでなんとかその不安と誤りをごまかそうとしているのだ。経験した者にしかわからないというが、それはその通りだと思うし、人が感じたことのある一般的な衝動や欲望というものに、僕は疎遠であり、疎遠であった。ゆえに、そうした気持ちの理解ができない。孤独な放浪者であるという感覚も、こうした心情に起因しているに違いない。

さて、先日は僕の誕生日であったのだが、友人の何人かが僕に祝福の言葉をかけてくれ、中にはプレゼントをくれる者までいた。大変嬉しかった。そこで僕が考えたことは、家族や恋人にはするけれど、友人にはあまりしない、この境界にあるものはなんであろう、そうこの誕生日のプレゼントではないかと思ったのだ。つまり利害関係が薄い証拠だろうとも思うのだが、プレゼントのやりとりというのは親密さの度合いとみることができそうだ。現にプレゼントをくれた友人は普段から親しくしているという感覚があった。そして僕が取った行動は、よく連絡のやりとりをする友人に誕生日を聞くことだった。

突然の質問に、彼らは怪訝そうだった。けれど彼らもきっと親しい友人からのプレゼントは嬉しいものに違いない。一年に一度の誕生日にプレゼントをするくらいなら背伸びをしなくともできるし、いい習慣なのではないかと考えたので実践することにした。もしよかったらこのブログをお読みになったあなたも親しい友人の誕生日にちょっとしたものでもプレゼントをしてみるといいかもしれません。喜びが増えることでしょう。

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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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