『サモトラケのニケ』と『ミロのヴィーナス』 美ヶ原高原美術館


世界を代表する美術館であるルーブル美術館、その所蔵品の中でもとりわけ有名なものといったら、絵画の『モナ・リザ』、彫刻の『ミロのヴィーナス』と『サモトラケのニケ』の三作品を挙げる人は少なくないだろう。そしてこの二つの彫刻が、なんと美ヶ原高原美術館に展示されているのだ。もちろんレプリカだが、一見の価値は充分ある。僕のように本物を見たことがない者にとっては偽物とはいえ、感動ものであった。大理石の見た目の質感はいかにも偽物っぽく、本物には遠く及ばないのだろうなという気持ちを抱きながらまず、『ミロのヴィーナス』を鑑賞し、続いて――『ミロのヴィーナス』は屋内に展示され、『サモトラケのニケ』は屋外に展示されていた――『サモトラケのニケ』のところへいくと、思っていたのとだいぶ違っていた。立派な台座があり、大空をバックに力強く、勇壮な翼を広げたニケの彫刻があった。翼は物理的に相応しい程しっかりとした形状をしており、現実的である。決して、空想的な天使の翼という類ではない。そういえば、スポーツメーカー「ナイキ」は勝利の女神である『ニケ』からきているそうで、ひょっとしたらこの翼を抽象的にとらえてデザインしたのがあのロゴマークかもしれない。

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本物を見たことがないのでなんともいえないが、レプリカだからこそ野外に展示することができ、一層この彫刻にふさわしい場所に置かれていると思った。芸術作品というのは、展示の仕方によって大きくイメージが変わる。ルーブル美術館にある『サモトラケのニケ』も当然、工夫を凝らした展示をされているだろうが、屋外にあるはずはあるまい。美ヶ原美術館にある『サモトラケのニケ』はダイナミックで、高原特有の流れ、うずまく雲を背景にして、幻想的でさえあったのでレプリカということをふまえても僕は気に入った。

一方、『ミロのヴィーナス』の方はというと、僕はあまり関心をひかれなかったし、感動や興奮もあまり覚えなかった。時空を飛び越えて存在する、という雰囲気もなければ、造形もそれほど美しいとはいえないようだった。黄金比が用いられているとして引き合いに出される代表的な作品ではあるが、そのバランスや立ち方は美しさがあるにしても、彫刻として重要な肉体の造形美は、今一つ足りないような感じがした。もっと女性的であってしかるべきだと思うし、やわらかさや質感のリアルさに欠けるようにも思った。これは好みの問題もあろうし、造られた年代を考えれば、現実に存在すること自体が奇跡であるし、その時代に現代にあって違和感のない彫刻をつくっていたということだけで、信じられず、ただただ驚きである。

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No title

ミロのヴィーナスの上半身だけのレプリカを見たことがありますが、モデルは男ではないかと思いました。顔の表情は力強く、裸体も筋肉質で、跡から女性をあらわす乳房をつけたしたように見えました。正しいかどうかは知りませんが。

Re: No title

お久しぶりです。こんにちは。
コメントありがとうございました。

sehaさんも「ミロのヴィーナス」を男性的だとお思いでしたか、やはり既存の価値観や指標というものはあるものの、自分の目で確かめ、判断してみなければいけませんね。そんなことを思ったりしました。

「美」とはなんであるのか?という命題はなかなか奥が深いようです……

これからもどうぞよろしくおねがいいたします。
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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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