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日本国よ、もう大きくならなくともよい


代助は人類の一人として、互を腹の中で侮辱する事なしには、互に接触を敢てし得ぬ、現代の社会を、二十世紀の堕落と呼んでいた。そうして、これを、近来急に膨張した生活慾の高圧力が道義慾の崩壊を促がしたものと解釈していた。又これをこれ等新旧両慾の衝突と見做していた。最後に、この生活慾の目醒しい発展を、欧洲から押し寄せた海嘯と心得ていた。

この二つの因数は、何処かで平衡を得なければならない。けれども、貧弱な日本が、欧洲の最強国と、財力に於て肩を較べる日の来るまでは、この平衡は日本に於て得られないものと代助は信じていた。そうして、かかる日は、到底日本の上を照らさないものと諦めていた。だからこの窮地に陥った日本紳士の多数は、日毎に法律に触れない程度に於て、もしくはただ頭の中に於て、罪悪を犯さなければならない。そうして相手が今如何なる罪悪を犯しつつあるかを、互に黙知しつつ、談笑しなければならない。代助は人類の一人として、かかる侮辱を加うるにも、又加えらるるにも堪えなかった。   『それから』より


生活が多様化し、価値観が相対的になってきているとはいえ、僕たちにはまだ貧富、強弱、美醜など優劣の存在する世界に生きており、だからこそ僕たちは自分を本能的に守ろうとして、相手を侮辱したり、軽蔑したりしている。僕たちが生活していくということ、それは同時に誰かの世話にならなければならないという意味になる。そしてその誰かの世話になっていることをそのまた関係のない誰かや直接その相手が侮辱するのである。あるいは世話になるのではなく、逆に世話をかける、もっと悪い言い方をすれば罪を犯さなければならないのである。それが多くの人たちの中で、社会の中で生きていくということなのだ。僕たちが、僕自身をあるいは家族を他者とは特別に守ろうとすれば、役に立たないか彼らを養い、生活させなければならないとしたら、一人分の労力や働きなりを複数人分としなければならないのだが、物理的にそうしたことはできないから、どうしてもごまかさなければならない。人間の一人として数えられるくらいになったら、僕たちは自分自身を養っていかなければならない。今のような扶養や教育のために生きるための働きをなにもしなくてもよいというのはおかしなことである。子どもを守らなければいけない?その通りだ。しかし、あなたがたは思い違いをしている。子どもたちに重労働をさせ、粗悪な環境で働かせることをいうのではない。子どもは子どもらしく社会の一人として働きを任じればいいということなのだ。かつてはどこの家庭でも子どもがお手伝いといって、優れた子ならばお手伝いの域を大きく超えた働きをしていたに違いない。そうした働きが子どもの楽しさと成長を妨げるというのならば、その働かせ方がおかしいのだ。誰にでも程よい労働というのは身体に効果的なはたらきをする。

こうした誤った労働を強いらざるを得ないのは、そもそも日本のような小さな島国が、資源も居住面積も少ないのにもかかわらず、力と文明を発達させようと必死になって、それらが豊富な国々に負けずにやっていこうとするのだから当たり前に国民は苦しくなる。どうして僕たちは日本は優れている国で、一等国でなければならないというふうに教えられ、そのように思い込んでいるのであろうか。みじめで不憫な国である。石油もない、台風や地震が多くて食べ物を育てるのも難しい。にもかかわらず人口はとてつもなく多い。そりゃ一人ひとりが苦しくなるはずだ。少子化が進んで、国力が落ちてしまう?当然のことではないか。人口は多くなり過ぎ、自分たちで抱え込める以上に発展してしまったのだから、自ら進んで縮小する気にならなければ、どこかで限界が来て、少子化にしろ、電力供給にしろ、年金にしろ、致命的な事象が生じるのは見えている。

日本国よ、もう大きくならなくともよい。僕たちは小さな極東の島国なのだ。条件が違うのだから劣っているということにはならないであろうし、僕たちは僕たちらしく、身の丈に合った国際的な活動をしよう。お互いを大事にしながら、豊かな国になろうではないか。

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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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