結婚について ある青年が考えること


生涯一人でいるか、或は妾を置いて暮すか、或は芸者と関係をつけるか、代助自身にも明瞭な計画はまるでなかった。只、今の彼は結婚というものに対して、他の独身者の様に、あまり興味を持てなかった事は慥である。これは、彼の性情が、一図に物に向って集注し得ないのと、彼の頭が普通以上に鋭どくって、しかもその鋭さが、日本現代の社会状況のために、幻像打破の方面に向って、今日まで多く費やされたのと、それから最後には、比較的金銭に不自由がないので、ある種類の女を大分多く知っているのとの三カ条に、帰着するのである。が大助は其処まで解剖して考える必要は認めていなかった。ただ結婚に興味がないと云う、自己に明らかな事実を握って、それに応じて未来を自然に延ばして行く気でいた。だから、結婚を必要事件と、初手から断定して、何時かこれを成立させようと喘る努力を、不自然であり、不合理であり、かつあまりに俗臭を帯びたものと解釈した。   『それから』より


少子化が長らく社会問題となっているが、晩婚化がそれに拍車をかけている。未婚率が増加しているみたいだが、結婚したくない人が多くなっているわけではないようだ。婚活という言葉が生まれ、結婚をしたいという若者は増えているといってもいいかもしれない。これからの社会には誰もが不安を抱いているだろうし、そうした中で生きていくにはやはり誰かと協力し合う必要を感じるのが人間なのであろう。結婚が家族ということよりも、不安定な未来を生きていくための方法としての形になりつつあるようだ。

僕の周りでも婚活に踏み切るまでは切羽詰まっていないにしても、出会いがないとか男女関係がうまくいかないということを嘆く友人がいくらかいる。僕はこうした問題は単に当人のコミュニケーションの不味さによって引き起こされていると思う。僕はこのコミュニケーションというものに真摯にとりくんできたので一般以上の能力を有していると自負しているわけだが、事実、大体の人間とはうまくやっていけるし、なおさら異性に対してはかなりうまくやっていけていると自覚する。

男女関係なんて端から利害関係に基づいているのだから、利己心をある程度まで捨て去ればむしろうまく取り入ることができるに違いない。下心なく、必要以上に意識することなく、心配りをもって接すれば同じ人間、なにもうまくいかない要素はない。異性は違う生き物だとして認識し、研究しながら、注意深く調査の目をもってふるまうことだ。相手を理解しようと努力し、少しでも理解すること、それが最もコミュニケーションで必要なことだ。

金銭に不自由がないから、女を大分多くを知っているのではなく、学生時代の場合、勉強と運動、そして容姿が平均以上であれば、あるいはこれらの勉強を除いた要素が秀でていれば大体のところそれなりに女性を知ることになるのではなかろうか。社会に出れば仕事であったり、金銭にこれらが変化するわけだが、おおよそ男性に必要な外面的条件はこうしたものだ。僕は金銭については全く駄目だが、コミュニケーション能力によってそのあたりをカバーし、己を知り、自分の置かれた状況で最善を尽くすというような、背伸びや無茶をしないことで、恋愛においてやってきたつもりである。恋愛をそれなりに重ねると結婚への決断が鈍くなる。一長一短、他者との生活を考えると、理想はどこまでも増幅し、妥協することがある程度まで結婚することと同等となるのかもしれないが、さてどうした結婚がよいのかということになると、一度もしたことがないからわからない。意志とは異なる違った動機でもって結婚を決意しなければこのままずっと結婚できないということになりそうだ。

僕自身を言えば、それに女性よりも人生をどう生きるかということに注意と時間、力を費やしてきたし、これからもそうするつもりだが、結婚が選択という概念になっていることにまず違和感を覚えないではいられない。どこまでも他人でいい。自分の事は自分でする。寂しさを紛らわしたり、より自分の生活を快適にするために伴侶を得る。それは契約ではなく、役割分担でもない。周りの環境に左右されることでもなければ、外野からうんぬんすべき事柄でもない。結婚がなにか人生のやるべき大きな仕事の一つで、それを形の上でだけでも達成すれば、まずひと段落というような安直な人生の考え方はいかがなものであろうか。

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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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