疲弊と多忙の中に穏やかな心と豊かな思想はなじまない


前回の記事を物してから少し期間が空いてしまった。とはいえ、無為に過ごしていたわけではない、大きな進歩と発見があり、充実の一週間というわけではなかったけれども、収穫のある一週間ではあった。

僕の読書のきっかけはといえば、「無知の知」、偏差値や物質的豊かさ、では測るのではない、違う次元の芸術であったり、思想、生き方というものがあるということに気づき、その導き手となるであろう書物がそこには付属しているということを発見したからだ。しかし、それ以上に、知的好奇心とでもいうような全く知らない、輝かしく、神々しい世界にたどり着き、その内部をとことんまで究めつくしたいというやむにやまれぬ欲求を感じたことだ。

世界文学というような、巨大で堅牢な作品群は尽きることない金の鉱脈のように、掘れば掘るほど金が―まさに読めば読むほど金言が―手にいっぱいになるくらい出てくるのだった。僕は夢中になってその鉱脈を掘り進んだ。なりふり構わず。その結果、学校は辞めてしまい、安定した仕事に就くことなく、遊び、恋愛にも熱中することなく、いわば青春をそのために消費してした。その結果、頭ばかりが重くなり、いざ立ち上がろうとするとクラクラと立ちくらみをして実生活になじむ事の出来ない自分を発見する始末となった。世界を知り、生き方を探るための読書が、いつのまにか読書の為の読書となり、ただ知識として脳内に刻まれるだけで、その先の人間形成や社会への働きかけというような出力へと、すなわち生きる養分とすることなく、ただ僕の元来の性情である怠惰と乱暴さを隠すための手段としていたにすぎなかった。他人と本心でかかわり合うことを避けるために、孤独を重んじ、学問にいそしんでいるふりをして、楽がしたいがためにもっともらしい格言を振り回し、懐疑的かつ批判的に周囲を見渡し、それでいて自分は何一つアクションらしいアクションをしないまま、ずるく過ごしてきた。

そんな僕も少しずつ考えが変わってきて―驚くべきことに、いや当然だという人の方が多いかもしれないが、人間の考えや者の見方というものは変わるもので―、あれほど自由と脱俗を求めてきた僕が、不自由や規則、俗事と向き合い、その中で自分というものの居場所を見つけていこうと思うようになった。文学をやるにしても、結局のところ共感と関心、啓発を呼ぶためには、受け手と体験や思いを共有しなければならない。僕は詩人ではなく、あくまで社会的な動物で、芸術家であるよりは考える葦というにぴったりなちょっぴり聡明な侏儒といったところなのだ。そういうわけで、僕は社会に対して一歩を踏み出そうと、そう心に決めた。

僕の大きな不安、それは一日最低八時間に及ぶ労働を、五日間立て続けに行なうに耐えうる集中力と体力を持ち合わせているか、それらが可能かどうかということであった。今のままでは厳しそうで、とても余暇を楽しむ力はなさそうであるし、体調不良か精神不安定になるのがおちだ。だからそれらに慣れていく必要がある。というわけで、この一週間、月並みな労働をしたのだが、案の定、ブログはおろか、読書もろくにできず、ただただ疲弊して一日一日を過ごしていた。今までどれだけ体力的に怠けていたのかということを痛感する結果となったが、やるべきことがはっきりとした。まず体力、および筋力をつける必要があるから、(その労働は立ち仕事で、足が柔らかさを失って、どうしようもないだるさに襲われ、集中力を欠き、しまいには頭痛を起こして、かなり堪えた)ランニングや筋トレをやっていこう。健全な肉体に健全な思想が宿るというが、やはり、疲弊と多忙の中に穏やかな心と豊かな思想はなじまない。わたしたちがどこか正道から外れたことにばかりぶつかるのは、疲弊と多忙が蔓延しているからに他ならないだろう。みんなが疲れ切り、忙しく動き回って、大事なことを見落とし、考えるべきことも考えず、ただただ目先にある利益と安逸のためにのみ暮らしている。何とも残念な限りだが、そうしたことに僕自身も逃げることなく、修行のつもりで身を投じなければならないのだ。それで始めて、僕が今までに読書によって学んだ、人の道を体現し、それを意味あることにできるのにちがいない。

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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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