人の手によってつくられる楽しさ
以前箱根を旅したときには、美術館めぐりと大涌谷観光をしたので今回は『芦ノ湖』へ足を運んでみることにした。
お正月の恒例行事、箱根駅伝の往路ゴールがある、芦ノ湖南側にあたる元箱根から運航している海賊船に乗ってみた。

出港時刻まで一時間ほどあったにもかかわらず、待合室には多くの乗客が待機していて、子連れの家族が多く見受けられた。
きらびやかに装飾された大きな海賊船は勇壮と行き先を見据えているように見えた。穏やかな湖面と広大な周囲を取り囲む山々がファンタジーな冒険の世界のように乗客には思えてくる。船内も海賊船さながらに工夫が凝らされていておもしろかった。きっと多くの乗客が人気漫画ワンピースの世界と重ね合わせたに違いない。
湖をこのように観光のためにエンターテイメントとして見事に仕立てているのはさすが箱根だなと思った。ただの貨客船ではなく、こうした設定を加えることでおもしろいものにしているのだ。僕は交通手段としてではなく、アトラクションとして乗船したので往復して元の港へ戻ってきた。東側近くに航路があるので、「箱根神社」や「山のホテル」、ロープウェーなどが前に見え、後方に去るのを風とともに見送った。僕のようなこうしたミンハーな多くの人たちは物好きにもお金を払ってわざわざ湖を縦断して帰ってくるのだからおかしいが、観光だったり興業、娯楽というようなものはそうした人の手によってつくられる楽しさを味わうことが醍醐味なのかも知れない。