女性論 『月と六ペンス』より


『女というやつはね、男から受ける傷なら、いくらでも宥(ゆる)すことができる。ところが、かりにも自分のために、男からなにか犠牲行為の奉仕を受けるというのは、絶対に宥せないんだからね』   『月と六ペンス』より


頼んでやってもらったのでは、女性はうれしくもなんともないらしい。その相手が男性であれば頼んでやってもらえるのは当然のことと考えているようである。しかもやってあげたのにもかかわらず、やりたくないけど仕方がないからいやいやというような好意やいたわりの気持ちが動機に含まれていないと彼女らは絶対にゆるせない。僕もそれはすごく経験からよくわかる。おそらく真理であろう。

一方、ひどい行為に対しては自分自身の相手への感情によって大きく印象が異なるようだ。何をしたかではなく、誰がしたかが彼女らにとっては重要で、大きな意味を持つ。対応に無関心さや冷淡さを感じても、相手に対して好意があればそれらはたいした意味を持たない。逆に、嫌悪感をもっていたら、それで万事おしまいである。やさしくしてもそれはまったく響かない。そして相手が冷淡であっても、それ以上に彼女らは冷淡であるに違いない。そしてその嫌悪感はいくら努力してみたところで拭える種類のものではないのだ。

そうしたことから僕が導き出した処世術は、女性とはそれほど深く関わらず、やさしさを持ち寄らないようにすること、だ。彼女らの好意や感情などわかったものではない、分析したり理解しようとしたところでむだな骨折りである。ただギャップと何気ないやさしさというものには弱いらしい…。

はあ、僕はまたありきたりな、当り前の男性目線の女性観を披瀝しただけに過ぎない。だが、これらは自らの経験より導き出された根拠ある結論であって、まったく無意味というわけではないが、これらの一般論を強めるはたらきをしたという寂しい結果を来たすだけだろう。

『僕は、恋愛なんかまっぴらだ。そんな時間はない。要するに、あんなものは弱さだ。そりゃ僕だって男さ、だから、ときどき女が欲しくはなる。だが、一度肉欲が充たされてしまえば、僕は、もうすぐにほかのことを考えている。僕は、自分の肉欲に勝てない人間なんだ。だが、肉欲を憎んでいる。肉欲というやつは、僕の精神を押し込めてしまうんだ。あらゆる欲情から自由になった自分、そしてなんの妨げもなく、いっさいをあげて仕事に没頭できる日の自分、僕は、どんなにその日を待ち望んでいることか。女というやつは、恋愛をする以外なに一つ能がない。だからこそ、やつらは、恋愛というものを、途方もない高みに祭り上げてしまう。まるで人生のすべてでもあるかのようなことを言いやがる。事実は、なに鼻糞ほどの一部分にしかすぎないのだ。肉欲というものは、僕も知ってる。正常で、健康なものなんだ。だが、恋愛というのは、あれは病気さ。女というやつは、僕の快楽の道具にしきゃすぎないんだ。それが、やれ協力者だの、半身だの、人生の伴侶だのと言い出すから、僕は我慢が出来ないんだ』   『月と六ペンス』より


恋愛はとめどない欲望の奔流に何度も繰り返し堰を切って穏やかに保とうとするようなものだ。思い出が増え、女性を知ることで忍耐と脳の違った働かし方を学ぶことができるというだけであろう。それはある程度まで僕には魅力的ではあるが、肉欲はまったく邪魔である。僕は毛嫌いするほどだ。自分が自分でなくなる瞬間があり、脳がジャックされるとでもいようか、集中力が散漫になったりする。作業や思考の働きを鈍らせるので、手っ取り早く解消させる努力を僕もしている次第である。だから女性はある程度まで僕にとって必要だ。もちろん女性賛美もできる。ただ、いい男でありたいか、それとも偉大な芸術家、あるいは賢人でありたいかといえば後者でありたいのである。色に溺れるという言葉があるように、そうした人生の根源的目的が男性とはことなる彼女らに深入りして付き合うと僕らの果すべき役割はのっとられてしまうのであろう。

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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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