短編小説=場面の固定 『ホーソーン短編集』より


一つの読了した文学作品について何かしらの感想や考察を記してみることは記録としてだけでなく記憶と感情の整理と確認にも役だち、単に文章を書く練習にもなるだろうし、自分としてはなかなかやってみる価値のあることなんじゃないかなと思っている。逆にそれ以上の意味もないから力む必要もない、自然体で細かいことは気にせずに書こうという心構えでいる。

今ちょうど読んでいるのは『七人の風来坊 他四編』(岩波文庫)で、副題として〔ホーソーン短編集〕と名がつけられている。短編集はあまり読まないのであるが、読み物としてではなく、文学作品としてその技法や構図、展開などを学ぶにはいい教材であるし、作家のジャンル分けとしても短編の名手と呼ばれる人たちがいることを考えれば、短編や長編という区分は文学における無視できない要素であると思う。

率直に『七人の風来坊』、『人面の大岩』、『ハイデガア博士の実験』と順番に読んできて、寓意に富んでいることは明らかで、短編のお手本といってもいいほどに読み応えがありながらすっきりしていて、全体的にバランスよく仕上がっている。訳も重厚感のあるように旧字体によって書かれ、文学性も高く表現されている。また、(短編)=(舞台の固定)という関係が成り立つということも示している。舞台が設定され、客観的な視点からそこに動く人間模様を映す。絶妙な加減で焦点を当てることで情景を損うことなく寓意の真意に目が向くように工夫されているところは本当に優れているといわなければならない。会話の挿入のバランスも上手く、読者をあきさせないものになっている。紹介文に「ロングフェローが天才の筆であると激賞した『トワイス・トウルド・テイルズ』。」とあるが、なるほど、その通りである。

恥ずかしながら、この書を手にするまで『トワイス・トウルド・テイルズ』の存在を知らなかった。僕自身の米文学への興味の度合いが大いに関係しているのだが、文学史における米文学の影響と実績というところを考えるとまだまだ日が浅く不十分なところがあるともいえそうである。

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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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