小説『自由への道』 9


「ところで松本君には夢があるかい?」さっと明るい表情になる石田さん。来客があり、松本がその対応をしたため、しばらく会話が途切れた。「いらっしゃいませ―。では、十番打席ですね、どうぞこちらのカードを打席にあります機械にお通しください。」彼の表情は決まって固く、淡々と業務をこなすといった感じであった。この日はお客さんはまばらであった。

「夢ですか……夢ってほどでもないんですが、僕は読書が好きなので、自分の作品が書けたらすばらしいな、なんて思います。でもそれは夢とは違って、憧れみたいなものかもしれません。芸術に生きたいという本能に近いものを実現させる方法として文学ならなんとかできるように思うのでそれを実現させたいです。石田さんは何かあるんですか?」
「僕はね、自由に世界中のゴルフ場で仲間と一緒にゴルフが毎日のようにやりたいね。もちろん、それには、お金と時間と仲間が必要なんだ。それが実現できるグループビジネスっていうものがあるんだ。それは僕が今受けてるセミナーのことでね、収入には二種類あって、それは労働収入と権利収入というやつなんだ。労働収入は僕たちみたいにサラリーマンを初めとしてほとんどの社会人がこの部類に入るわけだね。そして一方権利収入は、なじみがあるところでいえば、作家さんや発明家のように著作権や特許を持っている人たちで、マンションの家主さんなどもそういえるだろうけど、はっきりとした労働時間を持たずとも、極端な話、彼らが現在何もしていなくても権利がひとりでに利益を生んでくれるんだ。そして権利収入の方が一般的には多額の報酬となりえるんだね。本でも何万冊と売れれば相当な額になるし、マンションの部屋数を考えたらとてもすごいことだね。グループビジネスの考え方ではそのグループの大きさがその人物の人材価値として評価されて、それに報酬が払われるんだ。その人は実際には労働をしていなくても、彼の存在によって商品が売れているのであれば、それは労働と同じ意味を持つからね。とにかく誰かに利益をもたらせば、その報酬をもらえるのが資本主義の根本なんだ。これで苦もなく尽きることのない資金と自由な時間が手に入るわけだね。あと最後に一緒にゴルフをする仲間だけど、このビジネスの一番の魅力は真の仲間ができることだよ。みんなで成功して、みんなで自由と幸福を分かち合うんだ。最高だろう?松本君にしても物書きをしたいというのであれば、素地が必要になるよね。もしお金と自由があれば思う存分執筆に励めるわけだからグループビジネスおすすめだよ―。どうかな、一度一緒にセミナーに行ってみない?」

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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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