夏旅 東京の入り口、品川駅


僕が青春18切符の旅を好むのにはちゃんといくらか理由がある。

そして、その理由の一つは18切符が5枚つづりであることに由来する。

1枚で1日中、在来線に乗り放題なので、日帰り旅行で使うのならば5日分だが、旅先に泊まる旅をするとなると、往復で2枚消費するので最後の1枚だけ余ってしまうか、片道切符となってしまうわけだ。

そこで僕は5日間以上旅を続けることで、1回で5枚つづりを不足なく利用する。

また、1枚2300円に相当するので、運賃がその金額と大差がないとあまり意味がないことになる。

もちろん、途中下車が可能であるから、通常の切符よりも便利で旅向けには違いないのだが、なるべく長い区間乗ったほうがお得である。

しかし、特急などには乗ることができないので、その場合、長時間乗車を余儀なくされる。

すると旅程としては、観光する時間が減ってしまうので、余分な滞在時間、日数を要し、はてお得なのかどうなのか微妙なところになってしまいかねない。

こうした条件を鑑みながら、旅を計画するところにおもしろさと難しさがあってすきなのだ。


午前中を横浜で過ごした僕は、続いて東京へ向かうことにした。

この日は、横浜と東京を見物することにしていたので、前述の2300円に及ばない運賃で移動できることから、18切符は使用しなかった。

このことは同時に旅程が少なくとも6日間になることを意味した。

しばらくして、電車は品川駅に到着した。

空は明るさを閉じ込めるような雲に覆われていて、今にも一雨来そうな様子であった。

他の人にとってはどうかはわからないが、僕にとっては品川駅こそ東京の入り口という感じがする。

そしてこのときが僕にとってはじめての東京旅であったのだ。

それまでに少なからず東京に足を運んだことはあった。

修学旅行では浅草などへもいったし、隅田川を船で下ったりもした。

家族で東京ディズニーランドへ行くときにも品川駅は通ったはずであるし、高校の仲間と東京大学の下見に行ったことも懐かしい。

おなじく、横浜国立大学、東京医科歯科大学、東京農工大学なども見て周り、受験に向けて士気を高めるいい機会ともなった。

しかしながら、旅として、つまり旅情を欲し、学びと精神の向上を目していったわけではないので、このときの気持ちとは大きく違うものであった。

そういう意味で、初めての旅であったのだ。

僕は年齢などを考慮すれば、それなりに日本全国、多くのところを旅した。

だが、博多、大阪、あるいは横浜、特に東京というように、都会の街はあまり観光することをしなかった。

旅情とはやや離れた部分が多くあるようだし、時代の残像というものをそのままにしていることも少なく、どこか感性に会わないものを感じていたのだ。

しかし、今回思い切って都会の街に踏み切ってみた。

かつては江戸時代を支えた街であり、いたるところに歴史を残しているようで、「ブラタモリ」のように見かたと歩きかたをわきまえれば、旅情と風情に触れること、多大であることを知った。

品川駅構内の充実していること、田舎から都会にやってきた一青年には大きな驚きであった。

改札を通らず、切符を手にしたまま、食事はできる、買い物はできる、立ち読みはできるといった具合である。

まさに路線のオアシスで、降り出した大雨と雷に足止めを食らった僕はなんらの苦を感じることもなく、雨雲が過ぎるのを待つことができたのだった。

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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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