夏旅 横浜6 都会ならではの有名人との邂逅


港の見える丘公園から現代文学館に煉瓦造りの橋脚の上部をなだらかなアーチで渡された橋が架かっている。

その橋へと続く道の平べったい階段のところに、小・中・高までの学生はもう夏休みに入っている頃であったが、セーラー服と学生服を着た男女が集まっていた。

最初、学校のレクリエーションかなにかで文学館に来ているのかなくらいに考えていた。

だが、少し違和感を感じないではなかった、というのはそのおおよその一人一人の表情、姿を見てみるとどの女の子も透明感のある整った美少女ばかりで、男の子のほうに目を向けても、端正な顔立ちで、さわやかさをもっていた。

普通、どんな偏差値の高い学校でも、有名な私学であっても、クラスの美少女はクラスに一人、もしくは数人といったところであるし、男子にいたってはハンサムであるのは学年に一人というくらいのものであろう。

だが、彼ら、彼女らは違っていた。

だから、僕は記憶に強く残っていて、こうして書いているのだ。

またそこには異様な空気感があったので、避けるように、足早にそこを過ぎた。

すると、大人たちが並々ならぬ緊張感と忙しさで立ち回っていて、橋の上に目をやるとカメラマンとレフ版を従えた女性が撮影に望んでいた。

気が付かなかったのだが、僕のちょうど前方のほうに「映画の撮影中」という注意書きがあり、文学館来場者に迂回を求めていた。

「ローカルな映画でもとっているんだな」僕は率直にそう思い、遠回りをして文学館の前までやってきたが、そこに張り出されていた案内に目を通して、やはりそこで楽しめないだろうとの思いから断念したのだった。

引き返して、もう一度、今度はその演者を確認してみると、テレビやCMにひっぱりだこの剛力彩芽、演技力の高さと個性が光る中尾明慶、清純派女優岡本怜の3人でとてもおどろいた。

ついさっきまでなんでもない撮影現場、迷惑でしかない映画の撮影が一瞬にして得がたい光景との邂逅となったのであった。

人間の先入観や早合点は常によい結果を生まないのではないか。

地デジ放送が開始され、テレビに映る映像は格段に鮮明になり、僕たちはよりいっそう現実味を帯びた遠い世界を見ることができるようになったが、その反作用として僕にはその3人がそれほどのオーラをまとっているように思えなかったし、キラキラ輝いても見えなかった。

テレビでみたまんまといって差し支えないだろうという感じだ。

ただ、加えるなら岡本怜より剛力彩芽のほうがオーラというか、目をひくものを持っていた。

僕は完全にこの場の状況を理解した。

さっきの生徒たちはエキストラで、主要人物が演技をとり終わるのを待っていたのだった。

クラスがもしあんなにも美男、美女で構成されていたら、違和感ありまくりで勉強に集中できないだろうから、やはり自然界に基づくバランスは保たなければならないに違いない。

どちらかといえば田舎に住む僕にとって、こうした撮影現場やテレビでお茶の間をにぎわす芸能人に出くわすということは著しく少ないので、幸運だとはしゃぎ、都会はすごいなとの思いをいっそう強くした。

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Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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