栄の街歩き


「とりあえず、ラシックにいこう」

栄が久しぶりだというPは階段を上がりきって地上にでると、こう口を切った。

その方へ向かって横断歩道を渡り、いわゆる栄のメイン通りに行き着くとホコ天が実施されていた。

以前、テレビで名古屋・栄で歩行者天国が復活するというニュースがやっていたのを思い出し、偶然にもそれに出くわしたことを少なからずうれしく思った。

Pは「今日はポロシャツがほしいなー。

それと、万年筆も見たいから文具店にいきたいが…」と思案顔につぶやいた。

「ポロシャツならUNITED ARROWSかNANO UNIVERSEとか見る?

文具店なら確か上のほうにあったと思ったけど」と割合、栄に出向く僕はPの要望に答えるため案内係を辞さない構えをした。

「いやー、UNITED ARROWSにしてもNANO UNIVERSEにしてもいかなくていいよ、だってあの辺のブランドってユニクロと大差のないブランドだからね。

フレッド・ペリーが見たいな」

そういうPはユニクロの濃緑色のポロシャツにデニムを合わした出で立ちであった。

「フレッド・ペリー高いじゃん。セレブだなぁ」と先日ギャンブルで1万円すっている僕は今日そんな1万もするような買い物はしないつもりであったので少しばかり不満をもらした。

「上質のものは実際、長持ちするから、何年も着ることを思えば高くもないよ。

それにそうした輸入セレクトショップにあるものではなくて、自分の主観によって品質に満足した上でそのオリジナルのものを買うっていうのに一つの求めるべきものがあると思うんだ、ファッションにおいてはね」

僕はNANO UNIVERSEもUNITED ARROWSもお気に入りのお店で、よく服も買っていたのでちょっと肯んぜなかったものの、たしかに考えてみればどこかでダサいなーと思っていた事実をも確かめることになった。

「じゃあ、フレッド・ペリーは栄のパルコにあるから、そこでみよう。

ほかの専門店もそろっているからいろいろ見れるしね、文具店はもっと上だったはずだよ」

そこは最上階のレストラン街の下のフロアの角であった。

店先にケースに入った何種類かの筆記具がそろっていたが、万年筆はないようであった。

PARKERのボールペンやシャープペンが金の装具を光らせてひときわ目を引き、PはPARKERいいねとつぶやいた。

僕はプレゼントにもらったPARKERのボールペンを一本持っているので、いいよねと返した。

「万年筆だったら、三越とか百貨店のほうがよさそうだよ。

実際、三越にいくつか万年筆があったからいってみる?」

「いや、万年筆はいいよ、ちょっと気になってただけだから。

もういいから、パルコにいこうパルコに」

Pはなかなかさっぱりした男だから気兼ねしなくてよくて楽だ。

そんなことを考えていると、Pはこんなことを言い出した。

「いやあ、服はプレシーズンに買わなくちゃいけないよね、そのときが一番その夏なら夏に向けたデザインの商品が並ぶわけだから、いま並んでいるのはいってみれば、やや遅れたものなんだよね」

なるほど、彼は結構ファッションにこだわり―実際的こだわりではなく、理屈的こだわりを見せている―をもっていて、参考になることがいくつかある。

フレッド・ペリーでPはサーモンピンクのポロシャツを気に入り、サイズについて店員に質問していた。

下着を着ていなかった彼は試着することができなかったので幾分サイズ感に不安を持っていたのだ。

ポロシャツはサイズ感が命だといっても過言ではない。

半分一か八かの気味でPはそのポロシャツをほぼ買う体ということで試着をさせてもらった。

肩まわりとその袖口にやや窮屈さを感じたようだったが、シルエットは好みにあったらしく、やや恥ずかしげに購入の旨を店員に伝えた。

さわやかな印象をあたえるサーモンピンクとデニムとの相性もよく似合っていた。

彼がとりあえずひとつの目的を達成したので、僕が今度は主導権を得ることとなった。

今年の夏に欲しいと思っているのは、念願のRay-Banのサングラスと淡い赤のカラーデニム、かわいい印象を与える白Tシャツと着心地のよいポロシャツであったから、それらを順に好みのお店を回りながら物色した。

JOUNAL STANDARDで鴨のワッペンのかわいらしい淡い赤のポロシャツを発見し、一目ぼれしてしまった。

それを体に合わしている姿をみたPはそれはカーハートっていうブランドでなかなかいいみたいだよと教えてくれた。

色味のあるものに最近興味のある僕はそれを今日の成果とすることに決めて、家へと帰った。


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プロフィール

hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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