栄光のための貧しき日々


僕には本当にお金がなかった。

デートといっては、お金のかからない公園やウインドウショッピングが主なショッピングモール、水族館や花さくフラワーパークなどが多かった。

毎回彼女に食事をご馳走することはできなかったので、軽食やお茶代は大方出そうと心がけていた。

そんな具合だから、特別な日以外にはプレゼントを贈ることもなかなかできなかった。

それでも彼女は僕といる時間が楽しいといってはほほ笑んでくれたものだった。

僕はお金にけちなほうではないと思っていたけれど、彼女からしてみたらけちに映ったかもしれない。

パチンコやキャバクラといった遊びにはまったくお金を使わなかったし、服や車、趣味にもあまりお金を使わないようにこころがけていた。

そうした節制、倹約のなかでも本と旅、友人や彼女との食事には少なからず贅を尽くしていたように思う。

食事といっては手ごろな洋食などが多かったし、旅は新幹線や高級料亭などは利用せず、コンセプトを決め、少しの贅沢にとどめることにしていた。

大好きな本は、文庫本だけしか買わなかったが、自分の本棚に並ぶ姿がうれしくて中古や貸し出し本は用いなかった。

部屋には真新しい家具はなく、坐りにくい椅子や厚みの薄いベッドなど最低限のものがあるだけである。

もう少しだけ、お金があれば・・・

贅沢言っちゃいけない、十分恵まれた環境である。

それに、そんなありふれた見当はずれな望みを僕は抱かない。

まともに働いていない報いなのだ。

無意味な働きをしているとは僕は思っていない、ただいつか大きくなって戻ってくる大波のごときものをつくりださんがため日々過ごし、頭と体を動かしているつもりである。

単純な仕事に勤しみ、地道に金を蓄えるということをいい加減したらどうだという視線が胸に突き刺さる。

僕は自由という栄冠をつかみたく、幻想の土をつかみたくも、辛酸をともにする石ころもつかみたくはないのだ。

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プロフィール

hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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