姉の門出に添えて


人生は美しいものであり、悲しいもので、新たな門出というのはいつもちょっぴり寂しさを残していくんだ。

兄弟こそ共に生きることを運命的に定められた関係といえるだろう。

小、中学校のとき、まだろくに考える頭のない僕はいつでも姉が上級生にいたから、そのことを少なからず心強く思っていたことだろう。

生来臆病であったにもかかわらず、姉は僕たち兄弟のパイオニアとして堂々と中学、高校とその行く手を拓き、僕らの手本として文字通り人生の先生であった。

今度もまた結婚という人生の大きな節目を先んじて迎え、僕たちに一つの人生のあり方を身をもって表わしてくれた。

姉には仲のとてもいい地元の中学時代の友達である男女グループの仲間がいて、いまだにボードに出かけたり、BBQをやったりするほどで、そのときの写真が式中、モニターに映し出されていた。

僕にもそんな人生があったのかな。とその彼らの楽しげな表情を眺めながらふっと思った。

僕が結婚するとして、その式に呼べるような友人はどれほどいるであろう。

モニターに幾枚も映し出すほど友と過ごした時間はないように思われるし、その実、満面の笑みで笑っているであろうか。

いくらかの親しい友人は確かに僕にもいる。

だけれど、その懇意の中にも僕自身の心に隠している影があり、どこに、だれに顔を出しても、そうした影の部分をしまいこまなければ自分を保っていられないのだ。

対照的に姉は人好きのするやさしさをもち、そのやさしさをしっかり行動に移すことのできる、弟ながら尊敬のする人物だ。

その性格さから腹を割ってとか、分かり合えるといったような関係とはいえないのかもしれないが、それでも信頼をし合えるような、兄弟としては大体合格点だろうという関係を築くことができている。

姉はよく僕を心配した。

内向的で、社交的ではないから、もっと人生を楽しめ、もったいないと。

僕はただ、真面目に生きようと思ったのだ。

それに加えて、常識や習慣を疑い、茨の道をはだしで進むような、情熱と気概をもって生きたかったのだ。

そして、ひとかどの人物になろうと思ったのだ。

だって、大人は目に見えた成果を見せないとなににも納得しないのだから。

僕は青春の楽しさ、喜びを手ずから失ってしまったのだろうか。捨ててしまったのだろうか。

それから得たものは、親戚や知人に接するときに感じる自らの常軌を逸した生活ぶりの後ろめたさではなかったか。

常に偽り、本心を話すことなく、体裁よくその場を繕うのだ。

元来僕は明るくて、朗らかで、人と接して身の上話をするのが好きであった。

もうそれが叶わなくなってしまったとおもうと、寂しい気持になる。

人は結婚し、家族になり、子供を育てる。

家族、親戚が増え、みんなが寄り添って、辛くも楽しい日々を送っていく。

そうした大きな概念に僕は押しつぶされそうになり、不安を覚えた。

姉の幸福を心から願った。

みんなで食事にいったり、ときにはお家に遊びにいったりして、楽しい時間とかつての思い出を語りあうことができたらどれほどすばらしいかと空想した。

僕は常に自分の人生の客人であった。

姉の幸福を願い、両親に満足を与えることが使命とすら考えた。

自我が芽生え、その気持に軋轢が生じ、苦悶するようになった。

今日でまた日常が少しだけ変るのだ。

少しだけ心に苦味を残したが、それでも姉は幸福そうであり、万事はうまくいくだろう。

今までありがとう、そしてこれからも。

心からあなたの幸せを願っています。

文学というのは難しい。

これはプライベートではないか。

しかし、そこになにか出来合いのものを入れ込んでしまったら、感情は壊され、気持は腐り始めてしまうではないか。

どこまで書くことが必要で、許されるのであろうか。

尾崎豊は人生は


『生きること、それは日々を告白してゆくことだろう』

といった。

またジャン・ジャック・ルソーは『告白』を書いているではないか。

太宰治は『思い出』を。

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プロフィール

hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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