人間はなんらかの主義の立場にたって生きなければならない


『万物をつくる者の手をはなれるときすべてはよいものであるが、人間の手にうつるとすべてが悪くなる』

ジャン・ジャック・ルソー著『エミール』の冒頭を飾る言葉である。

何度も心の中と脳内をめぐらせ、問いかけ、味わいたい名文である。

自然礼讃、人為排斥の哲学を簡潔に象徴し、またそれを力強く主張している。

こうして読者は読み始めてからすぐ、自然礼讃をなんの抵抗もなく受け入れ、この『エミール』を読みすすめる上での思考の基軸を無意識に形成してしまう。

現代の教育にルソーは大きな影響を及ぼしたといわれているが、僕はその教育の影響を受けて育てられた人間であるからよりいっそうこの言葉には抵抗を感じなかったし、むしろ首肯を禁じえないほどに得心した。

その自分の思想でない思想がすこしの拒絶反応もなく受け入れられた異常な事態によって、ある大なる発見をすることとなった。

『人間はなんらかの主義の立場にたって生きなければならない』

『エミール』からルソーの思想を考えたときに根拠の有無に限らず、そこに『自然こそ正しい』という根本原理が存在していることがわかる。

では、果たして弱肉強食、肉によって肉を養うことを課す自然は正しいのだろうか?

そんな疑問を持ってしかるべきである。

極端な懐疑の立場だが、それによって異なる根本原理が生み出されることにもなろう。

しかし、ただペダンチックに懐疑派を自任して、悩むこと、理論をこねくり回すことに身をやつすのは卑しむべきことである。

青年が陥りがちな懐疑の堂々巡りは、その時期のある一経験としては必要かもしれないが、はまり込んでしまうのは避けたい。

なんらかの主義をもつため、発見するための懐疑でなくてはならないし、ひとまず既成の立場をとってみることは害にはならないだろう。

そうした自分の主義、立場にたつことで人は行動規範をもつことができ、正しき道を歩む準備ができるのだとおもう。

これは考えてみればとてつもなく恐ろしいことであり、またすばらしい結果をうむ可能性も秘めている。

『どんな主義をとるにしても、他の人を傷つけること、豊かな自然を損なうことにつながる主義を僕は認めない』

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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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