少年時代の不勉強


『父も教師もふたりとも、セリョージャの勉強ぶりに不満であった。

いや、実際、少年はとても不勉強であった。

しかし、この少年をできない子供ということは、まったく不当であった。

それどころか、教師がセリョージャに模範とさせようとした子供たちよりも、はるかに素質があった。

父には、むすこが自分の教えることを覚えようとしないようにみえた。

実際、少年にとっては、そんな勉強などすることはできなかった。

少年の心の中には、父や教師の教えようとする課題よりも、もっと必然的な課題があった。

これらの課題が互いに矛盾するために、少年は直接、自分の教育者たちと戦っているのであった』     『アンナ・カレーニナ』トルストイ著より


僕の幼少時代を思い出させるような、そんなワンシーンであった。

小学校、中学校、高校、大学と幼少期に限らず、僕は不勉強といってよかった。

小学校のとき、明日漢字のテストをやるので覚えるまでプリントに漢字を書いて提出しなさい。

という宿題が出たことがあった。

そのプリントにはいくつものマスがあり、その最上部に覚えるべき漢字が冠せられているといったものであった。

翌日、僕は何も提出せずにいると先生は怪訝な顔をして僕にたずねた。

「宿題はやってこなかったの?」

僕は平気な顔をしてこう答えた。

「覚えるまで書いてきなさいということだったから、もう全部漢字は授業中に覚えてしまったから書いてきませんでした」

先生はプリントだけでも出しなさいといったので、名前だけしか書かれていないプリントを提出した。

テストを受けると、やっぱりどの問題も簡単で悩むことなく答案を仕上げることができた。

100点だった。

僕にとってはあまり特別なことではなかったから机の中に適当に折って押し込んだ。

小学校はこんな感じでテストに対して何も思いをもたなかった。

順位が出ないので、点数の価値もわからなかったからかもしれない。

そんな点数よりも、部活で活躍することや、マラソンを速く走れるようになることのほうが重要で、そのために日々努力と関心を注いだ。

考えてみれば、小学校のときは両親も先生もそれほど熱心ではなかった。

田舎の小学校だったからだろう。

ある先生は私立の中学校に進学することを強く勧めたようだが、母はそうした考えを持っていなかったし、私立とか学問的教育にはまったく無頓着だったので受け流していただけだったようだ。

中学校になって、学内順位が出るようになり、プライドの高かった僕は上位でなければ気がすまなかったのでやや緊張をしてテストに望むようになったが、テスト勉強は味気ないし、意味もわからなかったので宿題を真面目に提出するだけだった。

母は90点に届かないテストがあると不満げであって、なんか悪いことをしたような気持になった。

勉強や学問に無頓着な母は結果しか見なかった。

90点なければ怠惰で理解力に乏しい頭脳の証拠だといわんばかりだった。

そんな母の教育のおかげで僕は自然と向上心と完ぺき主義を養っていった。

90点以下だと自分の無能さを責めるようになった。

偏差値もわからぬまま受験が近づいたので塾へ行き、仲のよかった友だちと一緒に行っていたのだが、クラスが違うのでおもしろくはなかった。

でもみんなが悩んでいる難しい問題を解くのは気持がよかった。そう、最上級クラスに僕は入れられたのだった。

進路を決めるときも母は受験や進学校、大学というものがよくわかっていなかったので、塾任せにした結果、最難関の公立高校を志望することとなった。

僕はできることならば部活を一生懸命にやっていたので、それで高校に行きたいという気持もあったが、将来のためには進学校のほうがよいということだったので、僕はなにもわからずにそれにしたがった。

部活も引退して、そのときに関心を向けたのは音楽、バンド活動であった。

常に、勉強よりも他の課題を見つけては取り組んでいたように思う。

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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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