人生は幸福のためにある 『ゲーテとの対話』

『この小説の筋を比喩的にいうと、君は根から萌えでる緑色の植物を思いうかべればよいだろう。

それは、しばらくすると、強くしなやかな茎から、元気な緑の葉をまわりへおしひろげ、遂には花をつけて終りになる。

花がそこにあるとは予期されなかったことであり、それどころか唐突でさえあったが、やはり花はそこにある必要があったのだよ。

というより、緑色の葉は、ただ花のためにだけ存在したのだし、もし花がなければ、わざわざ存在する必要もなかっただろうね』


『現実というものは、それ自体では、どんな意味があろう?

われわれは現実があるがままの姿で描かれていると、われわれは喜びを覚えるし、ある事柄についてより明確な知識をわれわれに与えうることも間違いない。

けれども、われわれの高次の資性にとって、本当の授かりものは、詩人の魂から吐露される理想の中にだけあるのだよ』


『自由とは不思議なものだ。

足るを知り、分に安んじることを知ってさえいれば、誰だってたやすく十分な自由を手に入れられるのだ。

いくら自由がありあまるほどあったところで、使えなければ何の役に立つだろう!』     『ゲーテとの対話』より


僕たちの幸福ということもこれと似ているのかもしれない。

幸福も予期されるものではなく、また突然やってくる性質も持っているといえる。

そして僕たちにとって幸福ということは生きる意味であり、幸福である必要があるのだ。

しかし、だからといって僕たちは幸福の花を咲かせようとしてはならない。

しなければならないのは、しなやかで強い一本の茎を伸ばし、緑の葉をまわりにいっぱいに広げようとすることだ。

太陽の光のごとき世界の恵みをまんべんなく受け取ることができるのならば、僕たち一人ひとりが持ち合わせている美しき大輪の花を咲かせることができるのだ。

花をつけよう、つけようとしても花がつくわけではない。

仮についたとしても、それは貧弱ですぐに落ちてしまうだろう。

花はどのタイミングで咲くかはわからないが、それまでにできる限りの葉を伸ばし、りっぱに枝葉をつけられたものが幸福の花を咲かせる。

結果にとらわれることなく、地道にできること、やらなければならない仕事をきっちりとやること。

それが人生に大輪を咲かせる唯一の方法という気がしてならない。

人生は幸福のために存在する。


人生をただの生理現象と見ている人がどれだけ多いことだろう。

誰もが人生という名の列車の乗客なのだ。

景色は窓外をものすごいスピードで流れ、後ろへと消えてゆく。

時が経つにつれて、そのスピードは増していく。

大事なもの、美しきものは目を凝らし、探さなければ決して目に映ることはない。

理想を描くことは才能のいることだと思う。

現状に満足しない、世界をもっとよいものだと信じるところに理想はうまれる。

その理想をありありと描いてみせること、その才能のない人たちにそうした世界を示すことが詩人であり、偉人である。

詩情のない人間には、本当の感動や豊かな贈り物を他人に与えることはできない。


自由とは誰もが欲するところのものに見えて、その実、避けてしまうものである。

能力のないものにとって自由ほどやっかいなものはない。

手に入ればその扱いがわからないし、持っていないとその自由がほしくなり、愚痴をこぼす。

僕は紛れもなく自由を欲する人間である。

数学っぽくなるが、自由とはあくまで限定的な概念である。

必ず範囲が決められており、その中での自由なのだ。

自由は無限の広がりを持っているから、自分でどこか自由という枠をつくらなければならない。

その上でその高次の自由のために努力し、試行錯誤すること、これは人生の生きがいともなろう。

まずやることは、現状の自由の枠がどのようなものであるかはっきりと自分自身で認識することだ。

その枠の中でどれだけ自分の自由を保障し、自由の自由度をあげることができるのかの実践をしてみることだ。

すると、案外自由度の高いことに気がつく、自由が許されていることは当然のことではないから、そこに自然と感謝の気持が生れる。

自由であることは決していやしむべきものでもなければ、遠ざけるべきものではないのだ。

すでに与えられているものであり、求めれば与えられる性質のものであると信じている。


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hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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