ゲーテのすばらしき箴言 『ゲーテとの対話』

『一体全体、耐えがたいこと以外に、なにか悲劇的な感動をあたえたりするものがあるだろうか』


『私は、モリエールの作品を毎年いくつか読んでいる。

それは、私が偉大なイタリアの巨匠たちの銅版画をときどき眺めるのと同じことだ。

われわれのような小粒の人間は、こういうものの偉大さを、心の中にしまっておくことなどできないからな。

そこでときどきそこへ帰って行って、その印象を心に蘇えらせることが大事なのだ』


『独創性ということがよくいわれるが、それは何を意味しているのだろう!

われわれが、生れ落ちるとまもなく、世界はわれわれに影響をあたえはじめ、死ぬまでそれがつづくのだ。

いつだってそうだよ。

一体われわれ自身のものとよぶことができるようなものが、エネルギーと力と意欲のほかにあるだろうか!

私が偉大な先輩や同時代人に恩恵を蒙っているものの名をひとつひとつあげれば、後に残るものはいくらもあるまい。

とはいえ、その場合でも、われわれが人生のどんな時期に、ほかの立派な人物の影響をうけるか、ということはけっして無視できない問題だ』


『人はただ自分の愛する人からだけ学ぶものだ』


『どんな非難を受けても、私は痛痒を感じなかったね。

著名な人たちではあったかもしれないが、そんな一握りの人の主観的判断などは、大衆の支持によって、また相殺されたからだ。

それはともかく、百万の読者を期待しないような人間は、一行だって書くべきではないだろうね』     『ゲーテとの対話』より


悲劇とは、僕たち人間がちっぽけで弱い存在だからこそ起こりうる。

普段そんなことは思ってもみないのだが、実際に悲劇の舞台に自分が登る段になって気づくのだ。

人間には生存本能、現状を打破し、進化、発展する本能が備わっている。

悲劇の中でその本能は顕著にあらわれる。

その人は悩み、挫折し、奮闘する。

健気な存在でありながら、そうして困難に立ち向かう姿は、結果の如何にかかわらず人々を感動させる。

ただし、こうした姿は耐えがたいことによってしか引き出されることはないのだ。


この『ゲーテとの対話』にしてもそうだが、こうして読み返すことで再び以前の印象が蘇り、また僕のような未熟な者にとっては新しきものまで手に入れることができる。

偉大な作品というものは、読むたびに新しく心に実りをもたらしてくれる。

生きていく上で重要なことは、適切な時期に復習を行うこと、忘れるのはどうしようもないから、忘れないように繰り返し演習を積むことである。

すばらしき音楽、文学、芸術、景色、食事を欲張らず、しかし絶やすことなく生活の中に織り交ぜていくことができたら、どれほど日々の生活が豊かになることであろう。


独創性というと、いかにも才能あふれる人の手による作品などに現れる特徴などのことであるように思われるが、ゲーテの洞察は本当に鋭い。

僕たちが独りで創り出せるものなどなにがあろう?

考えること、意思することのほかは経験によって、つまり外界からの影響によって思想や技術は生まれてくる。

では、人それぞれの個性、独創性を司るものはなにかといえば、その影響を与える事物、人物の選択と時期に他ならない。

それこそが、独創性、個性といえるのではないだろうか。

そういう意味で僕はラッキーだったと思っている。

ゲーテに関して言えば、『若きウェルテルの悩み』には大学時代、「今の自分のために書かれている!」と思うタイミングで出会い、退学するときにはスティーブ・ジョブズの演説に出会った。

高校時代に孤独を感じたとき、脳裏には尾崎の歌声が常に流れていた。

こうした、日々の中での事物の影響によって今の僕はつくられている。


では、なぜゲーテ、ジョブズ、尾崎豊、夏目漱石、ベートーヴェン、ゴッホ・・・を僕は欲し、愛したのであろうか?

(もちろん、学校の先生、両親、アニメ、そのほかさまざまなところで学んだのはもちろんだが)

これはまったく説明ができない。

ただ、偉大に思え、近づきたいと心底思ったからだ。

彼らの言葉を一字一句心に刻みつけようと思ったのだ。

そして、こういう姿勢だからこそ、学ぶことができるのであって、やはり愛する人からだけしか人は学ぶことができないのかもしれない。


僕はこうして思想や伝えるべきだと思うことを書いている。

ただの自己満足、とにかく漠然と読んでもらえるかどうかは問題ではない、こうした無意味に見えることに意味があったりするのだ。

と勝手にきれいごとを並べ、正当化していた。

しかし、ゲーテはそれを戒める。

百万の読者を期待して書かなければならない。

仕事とはそういうものでなくてはいけないし、他人の役に立たないものなど、他人に期待されぬようなものなどこの世の中に必要ない。

常に、人を励ましたり、感動させたり、向上させたり、発展させたり、楽しませたり、幸福にするようなものをつくらなければならないのだ。

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プロフィール

hajime

Author:hajime
ぜひ、高校生や大学生などの青年諸君に注意深く読んでもらいたい。むやみに多読する必要はなく、知識や思想の力があれば悩みに打ち勝つこともできるのだ。僕自身が高校時代から現在に至るまで苦悩と苦悶を繰り返しながら、懸命に人生について、「善く生きる」とはどういうことか、ということを真面目に考え、行ってきた事実をここに記している。その内容はきっと青年に役立つであろうと思わないではいられない。

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